モデル事務所という仕事
東京でモデルとして活動するために、どの事務所を選ぶか。これからモデルを目指す人にとっても、すでに活動している人にとっても、将来を左右する大切な選択です。
所属モデルの人数や知名度、ホームページの印象だけでは、その事務所が自分に合っているかまでは分かりません。
前回の記事では、モデル事務所がどのような仕事をしているのかを書きました。
今回は、モデル事務所を選ぶときに見ておきたいポイントを、事務所を運営する立場から整理してみたいと思います。
01
どんな仕事に強い事務所か
モデルの仕事には、広告、雑誌、ショー、EC、カタログ、ブライダル、ムービーなど、さまざまな分野があります。事務所によって、得意とする分野や取引先、モデルの見せ方は違います。
大切なのは、規模の大きさだけで判断しないことです。その事務所がどのような案件を扱い、所属モデルが実際にどんな仕事をしているのかを見てください。
事務所のホームページやSNS、所属モデルの実績を見ると、得意な分野はある程度分かります。
自分が目指す方向と、事務所の得意分野が合っているか。所属後の可能性を考えるうえで、最初に確認しておきたいポイントです。
02
所属後のサポートと、長く活動できる環境があるか
事務所を選ぶとき、所属できるかどうかだけを見ても十分ではありません。
大切なのは、その先です。
モデルの状況は、ずっと同じではありません。新人として経験を積む時期。仕事が増えてきた時期。結婚や出産、育児、体調の変化などで、以前と同じ働き方が難しくなる時期もあります。
そのとき、目の前の仕事量だけで判断するのか。それとも本人と相談しながら、これからの活動の形を一緒に考えるのか。
そこに、事務所の姿勢が表れます。
新人をどう育てているかだけでなく、経験を重ねたモデルにどんな提案を続けているか。何年も同じ事務所で活動しているモデルがいるかどうかは、それを見る一つの材料になると思います。
03
マネージャーと話ができるか
モデルと事務所の関係は、仕事の紹介だけで成り立つものではありません。
活動を続けていると、さまざまな悩みや迷いが生まれます。すべての希望が、そのまま仕事につながるわけではありません。ときには、本人の希望とは違う意見を事務所から伝えることもあります。
だからこそ、話ができる関係であることが大切です。
良いことだけを伝えるのではなく、現状や課題についても率直に話し合えるか。モデルの話を聞いたうえで、必要なことをきちんと説明してくれるか。所属前の面談では、条件だけでなく、マネージャーとの会話から感じる相性も見てください。
04
契約前に確認しておきたいこと
所属を決める前には、契約の条件をきちんと確認しておくことが大切です。たとえば、次のような点です。
分からないことを曖昧なままにせず、納得できるまで質問してください。
契約内容や費用について質問したときに、具体的に説明してもらえるかどうかも、所属前に見ておきたいポイントです。
05
契約書だけでは分からないこと
一方で、契約書を読むだけでは分からないこともあります。
こうしたことは、面談での会話や、所属モデルの活動の様子から感じ取るしかありません。
モデル事務所は、仕事を紹介する場所であると同時に、一人ひとりのキャリアを一緒に考える場所でもあります。
知名度だけではなく、どこなら自分らしく、長くプロとして活動していけるか。
モデル事務所を選ぶときには、ぜひその視点も持ってほしいと思います。
次回の 「モデルの仕事が決まるまで」 では、事務所に所属したモデルの仕事が、実際にどのような流れで決まっていくのかを書いています。
WRITER
岡本 浩太郎 KOTARO OKAMOTO
大学在学中よりモデルとして活動し、『MEN'S CLUB』レギュラーモデルを務める。 2000年に単身で香港・シンガポールへ渡り、アジア圏でもモデルとして経験を重ねる。 帰国後は俳優に転身し、映画・ドラマ・舞台などに出演。 2013年、株式会社ニュートラルマネジメントを設立。現在、代表取締役。
2026.9.7