モデル事務所という仕事
モデル事務所は、何をする会社なのか。
モデルに仕事を紹介する
オーディションを提案する
スケジュールを管理する
もちろん、どれも大切な仕事です。
ただ、13年間事務所を経営して思うのは、実際の仕事はもう少し広いという事。
モデルを探しているクライアントと、仕事をしたいモデルの間に立つ。
そして、一つの仕事だけではなく、その先のキャリアまで考える。
01
仕事は、モデルを提案するところから始まる
クライアントから撮影の相談をいただくと、まず案件の内容を確認します。
雑誌なのか、広告なのか、ECなのか。どんな年代や雰囲気のモデルを探しているのか。撮影日はいつなのか。広告であれば、どの媒体で、どのくらいの期間使用されるのか。競合する商品やブランドはあるのか。
そこから、所属者の中で誰が合うのかを考えます。
必ずしも、仕事が多いモデルや知名度のあるモデルから順番に提案するわけではありません。
写真ではクールに見えるけれど、笑うと印象が大きく変わる人もいる。スチールより動画で魅力が出る人もいる。長時間、多くの商品を撮影しても、最後まで安定した仕事ができる人もいます。
今までとは少し違う仕事の中に、その人の新しい可能性が見えることもあります。
「この仕事なら、この人が合うんじゃないか」。日頃モデルを見ているからこそ分かることを含めて、クライアントへ提案する。僕は、ここがモデル事務所の大切な役割の一つだと思っています。
02
決まってからの仕事は、意外と地道です
仕事が決まったら、それで終わりではありません。
撮影内容、集合時間、場所、衣装や持ち物を確認する。広告であれば、使用媒体や期間、競合などの条件も整理します。
表からはあまり見えませんが、こうした確認が曖昧だと、モデルにもクライアントにも迷惑をかけることになります。
モデル業界は華やかな印象を持たれることがあります。でも、事務所の日常はむしろ地道です。
連絡する
確認する
調整する
提案する
長く会社をやっていると、結局、こういう普通のことをどれだけ丁寧に続けられるかが信用になるのだと思います。派手な方法は、あまりありません。
03
「またお願いします」が続くこと
勿論、事務所がいくら営業してもモデル本人が現場で良い仕事をしなければ、その先にはつながりません。
マネージャーが仕事への入口をつくる。モデルが現場で結果を残す。そこで得た評価を、また次の仕事へつなげていく。その繰り返しです。
「またお願いします」
撮影後に、クライアントからそう言っていただくことがあります。
これは事務所を経営していて素直に嬉しい言葉です。
最初の仕事は、写真やオーディションを見て選んでいただいたものかもしれません。でも二回目は、一度一緒に仕事をした後です。
何年も同じブランドやクライアントから呼ばれ続けているモデルを見ると、それは決して偶然ではないと思います。現場で積み重ねてきた信用がある。その信用はモデル本人のものです。そして、それを次の仕事へつなげるのが僕たちの役割です。
04
所属すれば、仕事が保証されるわけではない
ここは、これからモデルを目指す人には知っておいてほしいところです。
モデル事務所に所属したからといって、すぐに仕事が決まるとは限りません。
作品撮りをする
レッスンをする
クライアントへ提案する
書類選考に通る
オーディションへ行く
そうした過程を経て、仕事につながります。
早く決まる人もいれば、少し時間のかかる人もいます。だからこそ、所属すること自体をゴールにしない方がいい。その人に今何が必要なのか。今ある仕事を大切にした方がいいのか。少し余白をつくって、新しいオーディションへ動いた方がいいのか。一人ひとり、答えは違います。
05
事務所を選ぶ時に、少し見てほしいこと
モデル事務所を探す時は、所属モデルや仕事実績を見ると思います。それはもちろん大切です。
その上で、どんな仕事を得意としている事務所なのか。どんなモデルが長く活動しているのか。所属した後、自分の希望やキャリアについて話ができそうか。
そこも見てほしいと思います。
大きな事務所には大きな良さがあり、少人数の事務所には別の良さがあります。
モデル事務所に所属することはゴールではありません。
むしろ、所属してからの時間の方がずっと長い。
本人がやりたい仕事。事務所から見える可能性。実際に市場から求められている仕事。
その三つを見ながら、「では、次は何をしようか」と考えていく。僕は、モデル事務所という仕事をそんなふうに考えています。
WRITER
岡本 浩太郎 KOTARO OKAMOTO
大学在学中よりモデルとして活動し、『MEN'S CLUB』レギュラーモデルを務める。 2000年に単身で香港・シンガポールへ渡り、アジア圏でもモデルとして経験を重ねる。 帰国後は俳優に転身し、映画・ドラマ・舞台などに出演。 2013年、株式会社ニュートラルマネジメントを設立。現在、代表取締役。
2026.8.24