東京モデル事務所|ニュートラルマネジメント

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#06 モデルのプロフィールとブックは何を伝えるものか

モデル事務所という仕事

僕は、所属モデルの作品撮りやブックの写真選びには、細かく口を出す方だと思います。

一枚ずつ見れば良い写真でも、並べたあとで外す事があります。反対に、本人が迷っている写真を、残したいと思う事もあります。

自分の好みも、もちろんあります。ただ、それだけで選んでいるわけではありません。

この写真が入ることで、そのモデルの何が伝わるのか。どんな仕事に向けて、見てもらいたいのか。

今回は、モデルのプロフィールやブックをつくるときに、僕が考えていることを書いてみたいと思います。

01

初めて見る人にも、伝わるように

モデルのプロフィールには、写真やサイズ、これまでの実績などを載せます。数枚の写真と基本情報をまとめたコンポジットや、仕事・作品撮りの写真をまとめたブックも、その人を紹介するための資料です。

初めての相手に紹介するときだけでなく、すでに仕事をご一緒している方に、最近の姿や新しい表現を見てもらうこともあります。

ただ、つくるときには、本人を知らない人の目線で確かめたいと思っています。

普段から会っている僕たちは、写真を見ながら、その人の声や動きまで思い浮かべられます。写真には出ていない魅力まで、つい重ねて見てしまう。でも、資料を見る相手が、同じ情報を持っているわけではありません。

「実際に会うと、もっと魅力がある」

そう感じるなら、何が資料に出ていないのかを考えます。表情なのか。立ち姿なのか。その人特有の雰囲気なのか。

もちろん、写真だけで伝えきれないものはあります。それでも、「会えば分かる」で済ませずに、今の資料で、もう少し伝えられることはないか。

そこも、モデル事務所として考えたいところです。

02

写真は、並べてからもう一度見る

撮った時期も、服も、場所も違う。それなのに、並べてみると表情や顔の角度がほとんど同じ。ブックを見直すと、そういうことがあります。

一枚ずつはよく撮れていても、全体では、その人の同じ面ばかりを見せていることになります。

得意な表情が分かるのは良い事です。ただ、その人には、他にも見せられるものがあるかもしれません。

だから僕は、一枚の良し悪しと同じくらい、写真の組み合わせを見ます。

印象に残る一枚があり、そのあとに顔立ちや全身のバランスが分かる写真が続く。さらに見ていくと、最初とは違う表情にも出会える。ロケやスタジオ、仕事のあがりのバランスも重要です。

順番に決まりがあるわけではありませんが、見進めるうちに、その人のことが分かるようにしたいと思っています。

強いメイクや衣装でつくった作品にも、飾らない姿を見せる写真にも、それぞれの役割があります。

気に入った写真を外すのは惜しいですが、よく似た写真が続くなら、一枚に絞った方が、その良さが伝わることもあります。反対に、本人が迷っていた写真に、ほかにはない表情が写っているなら、残したい。

写真の数だけでなく、並べたときに何が伝わるかを見て選びます。

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作品撮りは、今のブックを見直すところから

作品撮りの前には、まず今のウェブページやブックを見直してほしいと思っています。

今の写真で十分に伝わっている事は何か。まだ見えていないのは何か。足りない表情や角度はないか。どのブランドや媒体に、どんな姿を見てもらいたいのか。

そこまで考えると、次に撮りたいものも具体的になります。

たとえば、アパレルブランドに提案したいのに、ブックには顔のアップが多い。そんな時は、全身のスタイルや、着こなしが分かる作品を撮りたいと考えます。

その作品を見たクライアントが、実際の撮影を想像できるところまで伝えたい。

服や場所を変えて、違う作品を増やすだけではなく、トライしたい仕事に対して、今の資料に何が足りないのかを考えるということです。

そのイメージを、カメラマンやスタイリスト、ヘアメイクの方とも話してみる。自分では考えなかった提案に出会えることも、作品撮りの面白さだと思います。

何本撮ったかだけでは判断しません。

新しい表情が加わった。これまでとは違う服の見せ方ができた。次に提案したい仕事に、その作品を持っていける。

撮影が終わったら、新しい作品を今のブックに入れてみる。前より何が伝わるようになったかまで、確かめたいと思っています。

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本人が好きな作品も残しておきたい

仕事のための資料だからといって、分かりやすい写真だけを並べればいいとも思っていません。

本人が好きな服や、少し意外な表情。すぐに何の仕事に合うとは言い切れなくても、その人の感覚が見える一枚があります。

そういう写真まで外すと、見やすくはなっても、その人らしさが薄くなってしまうことがあります。

本人が残したいと言うなら、どこが好きなのかを聞く。こちらが別の写真を勧めるなら、何を伝えたいのかを説明する。

僕が見落としている良さもあるかもしれません。自分の見方だけで決める前に、本人がその写真を大事にしている理由も知りたいと思います。

仕事につなげるために必要な写真と、本人が大事にしたい写真。その両方を見ながら選びたい。

写真選びを、事務所が正解を出して、本人が従うだけの作業にはしたくありません。

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過去の実績と今の姿を一緒に伝える

以前の仕事の写真が、今もその人の良さをよく伝えていることがあります。古いという理由だけで、外す必要はありません。

ただ、プロフィールには、「今、どんな姿で撮影に来るモデルなのか」を伝える役割もあります。

髪を切った。髪の色が変わった。サイズが変わった。

本人と事務所には分かっていることでも、資料だけを見る相手には伝わっていないことがあります。撮影当日に「写真と印象が違う」となれば、クライアントにもモデル本人にも負担がかかります。

過去の作品を大切にしながら、最近の写真と正確な情報を添える。必要に応じて、つくり込んでいない写真でも現在の姿を伝える。

すべてを新しい写真に替えなくても、これまでの表現と今の本人を、どちらも見てもらえるようにしておくことはできます。

プロフィールを更新するのは、新しく見せるためだけではありません。今の本人を、きちんと紹介するためです。

本人をよく知っているからこそ、写真だけでも伝わっているつもりになっていないか。

ブックを見直すたびに、僕自身もそこを確かめたいと思っています。

2026.10.11